よく転職で、年収がこれだけアップしたという記事を見ます。人材紹介会社・転職エージェントにおいても、それをアピールする記事が目につきます。
でも、私はそんなのに、全然興味ありません。そういう記事を読むよりも、最も読むべき記事があるはずです。
というわけで、今回は私が、会計士試験を勉強していた時の初歩的、基本的な知識を使って、年収よりも大事なものがあるということを、論理的に説明してみます!!
分かりやすさを重視しているため、会計用語の使い方について会計基準等に照らして、正確でない部分もありますが、ご了承ください。
損益計算書・貸借対照表
法学部・法科大学院で会社法を勉強したことなら、きっとどこかで聞いたことがあるはずです。
損益計算書・貸借対照表について、会社法では計算書類に含まれています。貸借対照表は、司法試験の論文試験で出題されたこともありますが、きっと公認会計士の試験を勉強していた人に若干有利に働いたのではないかと感じましたが、本題と逸れるので、やめておきましょう。
ただ、会社法の勉強から、もう時間が経って、すっかり忘れてしまった人もいるかもしれないので、復習しておきましょう。
この損益計算書・貸借対照表を勉強しておくことは、業界・会社分析の時にも役に立つので、どうか最後までお付き合いお願いします。
損益計算書・貸借対照表の大きな役割
損益計算書は、ある期間の会社の利益をどれくらい利益を得たかということを示すものです!!
大事なのは、損益計算書は、過去の一定期間の利益を確認するためのものです。この期間に、これだけ仕入れ(費用)って、これだけ売りました(収益)ので、残った利益(純利益)はこれだけというのを教えてくれます。左右の合計金額は一致します。
貸借対照表は、ある一定の日、会社にどれくらいの資産(お金に代わりうるもの)があるかを示すものです。これも、左右の合計(資産の合計=負債と資本の合計)は一致します。資本には、損益計算書の純利益が加わります。
法律だけ勉強してきて、会計をあまり勉強してきた人は、そろそろ拒否反応が出てきたのではないでしょうか。私自身の説明が上手くないのが原因かもしれません。ですが、もう少しお付き合い下さい。
次の質問に答えるを理解できれば、もう少し距離が近くなるはずです。
会社法クイズ
会社法第四百四十条
株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、●●●●(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
さて、●●●に入るのは、貸借対照表、損益計算書のどちらでしょうか?もうこれが、すっと答えられる方は、法律だけでなく、計算書類の役割もしっかり理解されている方ですね。ただ、これが分かっても、司法試験に受かるとは限らないですけど。
分からないですか?大丈夫です。そういう人も多いと思います。かなりマニアックなクイズですし、もう会社法の短答式試験がなくなって、1年以上経っているし、全然大丈夫です。これから、理解しましょう。
ヒント1です。
会社法の計算の規定は誰を保護することを目的としていますか?
株主保護ですか?確かに、株主が出したお金を取締役に散在されては困るので、それも正解です。剰余金の分配規定で取締役の責任を規定していますが、それだけですか?
そうです。債権者も保護していますよね。株主有限責任原則の下では、債権者は会社にある財産から回収する必要性が高いですからね。他に、投資家保護とか、色々考えると奥が深くなるので、立ち入りません。
ヒント2です。
440条が大会社は損益計算書・貸借対照表の2つ公告しなければいけないのに、大会社でない会社は、そのうちの一つだけで許されるのは資金力が弱い会社の事務の負担を軽減するところにあります。ただし、一つはどうしても公告しなければならないといけないのは、債権者保護にありそうです。
つまり、債権者にとって、その書類は、会社の資金状態を理解するのに、とても重要な書類ということになりそうです。
どうですか。
会社法第四百四十条
株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、●●●●(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
の●●●●に入るのが、貸借対照表・損益計算書のどちらか分かりました。
答えを発表しますよ。
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それは、貸借対照表です。貸借対照表は、会社の資金状態(回収できるお金の状態)を示してくれるものであり、債権者保護には欠かせないからです。
損益計算書は、一定期間の利益なので、会社の資金状態を把握することは難しいです。例えば、私が1年間に運よく1000万円の利益を稼いだとしても、私がそれまでに9000万円の借金をしていたのなら、誰も私にお金を貸したいと思わないでしょう。
年収を重視するのが、不適切な理由
会社も人も長期的視点で分析すべき
会社に就職した場合には、特に理由がない限り、少なくとも数年はそこで働くことになります。人によっては一生かもしれません。
そのため、会社を分析するときには比較的長期的な視点で良し悪しを分析をする必要があります。
損益計算書は、過去の一定期間の儲けを示したものにすぎません。そのため、それまでどんなに業績が悪くても、1年間頑張れば、良い状態を作り出すことは可能です。
それに対して、貸借対照表は、過去の積み重ねの結果が現れるので、1年間頑張っても、簡単に数字を変えることはできません。これが、貸借対照表が損益計算書と違って、比較的長期的な視点で分析できる理由です。
しかも、貸借対照表は、その会社の将来的な利益を予測するのにも役に立ちます。
貸借対照表は資産(お金に換えることができるもの)を示してくれています。つまり、資産には現金、預金だけでなく、商品、土地、建物、機械などが記載されています。現金や預金はお金ですが、それ以外のものをどのように活用してお金を稼ぐか分析できるという点で、その会社が将来どれくらい利益を出すことができるのか予測するに役立ちます。
これを人に当てはめると、1年間の年収に着目しても、長期的な未来にそれが保障されていることはないということです。逆に、自分の中に資産を蓄える働き方をすれば、長期的に利益を確保することができます。
人における資産とは、会社と同じようにお金を生み出すことができるものという風に捉える必要はありません。人における資産には、お金だけでなく、人間関係を豊かにしてくれるものであったり、喜びを感じさせ、何かに夢中になれる時間を増やしてくれるものであったりも含まれます。
単純に1年間の年収アップに拘るのではなく、自分自身の資産に着目して就職・転職活動してみてはどうですか?
私も、年収より、資産に着目して、就職活動してます。
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